恋愛温度、上昇中!
煌びやかな街の通りが過ぎていくのをただ無意識に眺めながら、私は何故か笑ってしまった。
「なんだよ、ドスケベ」
関谷が鼻で笑う。
「ドスケベって」
「思い出し笑いだろ、ドスケベ」
「なにそれ」
だけど、そう、ただ、単に思い出していたのだ。
理解出来ない他人事のような出会いから
始まったこの恋を。
「これが、大人の余裕」
私は関谷を真似た笑い方でフフンと口元を上げる。
「幸せな奴」
関谷は相変わらず面倒くさそうにだけど優しい声を放った。
「そうかもね」
本当に、幸せだから、思い出し笑いってするんじゃないかと思う。
私の隣には関谷がいて、関谷の隣には私がいて、それが当たり前になっていく日々が、愛しいと思うから。
「いやに素直じゃねーか」
関谷は口元を上げただけで、私の頭を子供をあやすように撫でた。