恋愛温度、上昇中!

ひがみ、だ。

そう言われればそうなのかと納得する。いちいち突っかからない。そんな気力があるなら違う事に使う。
淡白。冷静。無口。鉄のガードに鉄の容姿。それでも、何とか入社五年目で主任を任された。
合コンや季節のイベントに乗っかる事もなく、目の前の仕事を飽きる事なくひたすらこなした。
勿論、現実はスマートに進んでなんかいないし、皆のイメージ通りの自分なんか本当はどこにもいない事は承知している。

『ねぇ、何であんた下着会社になんか勤めた訳?』

友人によく聞かれる質問。

『どー考えても似合わないんだけど』

歯に衣を着せない彼女はプププと笑いながら、ないわーと手をヒラヒラさせる。

『だって、あんたが下着会社なんて!!色気も女子力も欠片のないあんたが!』


学生時代からの付き合いの彼女は今でも私の職業にちっとも慣れてくれない。

……そりゃあ、私だって、不似合いな事は重々承知しているの。
< 7 / 418 >

この作品をシェア

pagetop