恋愛温度、上昇中!
「…好きなんですか?」
「好きな訳ないじゃない!!」
そうだ、こんな短期間で恋に落ちる程単純な物じゃない筈。心拍数が上がるのはあの正体不明の色気のせいだ。好き、という言葉とは違う。慌てて、関谷という存在を無理矢理しまい込む。
「そ、そうですか」
マチちゃんは、後ずさりしながら私の勢いに怯んだ声を出した。
「いや、いつもそのブランドの物持ってる気がして」
申し訳なさそうに弁解するマチちゃん。
「え?これ?」
マチちゃんが指すのは、私が持っているポーチ。
思わず、ズレてもいない眼鏡を直す。 シンプルなデザインで最近お気に入りのブランドだったんだけど。余程、私の勢いが強かったのか、オドオドするマチちゃん。
…もう、使えないな。フゥと溜め息をついた。