強くて鈍感な彼女?!
次の日には校内は私と新島先輩の話で持ち切りだったが、空気を読んでか直接聞いてくる人などいなかった。
それから先輩とは1度も話さず卒業していった。
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これが由利から聞いた過去。
それから恋愛に関してはトラウマができてしまい、1度も恋愛をしていないという。
どうしても先輩と重ねてしまって怖くなるらしい。
私は、由利に何も言葉を掛けてあげれなかった。
恋愛経験の乏しい私が何を言ったってそれは、慰め以外の何でもないのだから。
だけど、ただ一言。
一言だけは伝えておきたかった。
「…由利、颯斗君は新島先輩じゃない。だから新島先輩に捕われる必要はもう無いんだよ。」
由利は、一瞬だけ驚いた様な目をしてそれから少し笑って
「うん。ありがと。」
と言った。