強くて鈍感な彼女?!
―梓Side―
由利がいつになく真剣な顔で颯斗と話がしたいからと言われ風太と学校を出て歩くこと5分。
どちらもさっきのことばかりを気にしてしまい、2人の間にはいつもとは違う沈黙が流れる。
しかしその沈黙を始めに破ったのは私。
「風太…由利は多分だけど颯斗に過去のことを打ち明けるんじゃないかな?」
「過去…といえば、新島先輩の話?」
「知ってるの?」
「まぁ、1年の始めから3年の先輩に猛アタックされてたら嫌でも噂は流れてくるから。」
「どうして別れたのかも?」
「大体分かる。」
「そっか…颯斗君がちゃんと受け止めてくれたらいいな。」
「あいつなら心配しなくたって由利のことが本気で好きみたいだから大丈夫だろ。」
「それもそうだね。私達も2人を支えてあげなくちゃ!」
「そうだな。」
心配していた心は、風太君の言葉によってみるみるうちに晴れ渡っていく。
風太君が大丈夫だって言えば全てが大丈夫なんだって思える。
なんだか矛盾してるけど本当にそうなんだから不思議だ。
私はその思いを口に出してみる。