誰よりも愛してる


「俺の腕、振りほどかないんだね…?」


耳元で聞こえた声にハッとして、慌てて彼の腕を振りほどく。


困り笑顔の彼。


何も言えない私。


静かな部屋に時計の音だけ響きながら、時間を削っていく。


気まずい沈黙の後、彼は腕時計を見てゆっくり立ち上がった。


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