少年少女リアル

「そういうところって、恋愛においても同じで。相手の気持ちを探ろうと疑ってしまったり、自惚れて恥をかくのが嫌だから見て見ぬをしたり」

「……」

「挙句、その間に第三者に取られたりね」

全く、この人には感服する。

僕の意識の欠片を繋ぎ合わせて、鮮明に想像できるほど、リアルに、言葉にする。

生々しくて、痛い。



本当は、薄々気付いていた。向井さんが僕を構う理由に。

自惚れないよう自分で誤魔化して、彼女の腹を疑い続けた。

それでも、誤魔化しきれない彼女の態度に苛ついて、疎ましく感じて。


受け入れてはいけない、と言い聞かせていた。

彼女が傷付く顔を見るのが怖かった。でも、それ以上に、擬似恋愛で、自分が傷付くのが怖かった。そう、思っていた。

< 109 / 194 >

この作品をシェア

pagetop