少年少女リアル
 手がきりきりと痛む。
ぎゅっと握り締めると、悔しくて、もどかしくて、堪らなくなった。


地鳴りがする。ごうごうと、天か地か、まるでどちらかが揺れているようだ。

空一面が白くなった。そう知覚した瞬間、何かが弾け飛ぶような破裂音が頭上で鳴った。
さすがに僕も驚いて、肩がびくりと動いた。

「きゃああ!」

同時に甲高い声がきんと頭に響く。
殺人現場にでも出くわしたかのような。まるで悲鳴だ。

そんな悠長な事を思わないうちに、彼女が瞬間的に側に身を寄せたのが感じられた。後退りそうになった体を制する。

肩を少し震わせ僕を頼る身体は、弱さそのものだった。

カッターシャツを強く握った拳から熱が伝わり、とてつもなく熱い。

まだ雷はうるさく喚き散らしていたけれど、気に止める余裕などなかった。

苛立ちのような、哀れみのような、言葉では形容し得ない感情が、僕を埋め尽くしていく。凄まじい速さで。
意識していないと、今にも顔がぐちゃぐちゃに歪みそうだった。
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