少年少女リアル

「バレるわ、アホ」

「お前なぁ、リハの時もミスしてただろうが。次やったら殺す」

責められようが、指先は器用にネクタイを締める。案外こたえていないのか。

「ごめんってぇ。……俺、一つの事にしか集中できない質なんだよなぁ」

「言い訳するなら、ギターかボーカルの代わりでも連れてこい」

奥にいた全身黒の男が眉を寄せて笑う。青い目だけが浮かび上がって、見る者の視線を誘う。

「クク……今日の反省会代は駿持ちだな」

「そりゃないぜー」

「いい提案じゃねーか、シローに一票」

「えええ?! ジョーさんまで!」

冴木はすっかり僕とほぼ同じ格好だ。暑いのか、それとも、彼等の決定に衝撃を受けているのか、上着を着ないまま突っ立っている。

「……決まりだな」

「クラスメートの醜態晒させた罰だ。天誅!」

と、僕に目を遣る。

「こっちには何も還元されないけどな」

愚痴を零すと、ジョーさんは酔っ払ったみたいに気さくに笑った。
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