少年少女リアル
 少し前から、女二人組がチラチラとこちらに視線を向けている。
それにも、ここ二日、いや、昨日一日でずいぶん慣れた。

冴木も視線に気付いたのか、熱心に覗き込んでいたパンフレットから顔を上げた。

他校の制服を着ている。あれは確か、近くの高校のはずだ。学校名までは知らない。

目が合うと、冴木はにこりと微笑んだ。

「知り合い?」

「いや、全然」

そう言いながらも、冴木はひらひらと手を振った。
全く。呆れる。愛想が良いのか、女好きなのか。

冴木が手を振るなり、女達は恐る恐るこちらへ近付いてきた。
顔には歓喜の色。まるでアイドルに握手してもらうかのようだ。
ああ、でも、冴木はアイドルと言えばそうだった。地域限定の、だけれど。


次に言われる台詞は、大体推測できる。二パターンしかないのだから。

「一緒に写真撮らせてもらってもいいですか?」

「いいですよ」

冴木は快く返事をすると、軽く腰を上げた。
視線で促され、続いて僕も立ち上がる。本当は座っていたかったけど。

この衣装もただの見世物に近い気がする。
誘致よりも、写真を頼まれるだけ、というのが圧倒的に多かった。

立ち並ぶと、もう一人の女がレンズをこちらへ向けた。
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