少年少女リアル
 交代を合わせ数回撮影すると、彼女等は興奮気味に礼を言った。甲高い声が頭に響いてキンと痛む。
如何にもぐったりした顔で写っていそうで、申し訳ないと思った。

「よかったらお店の方にも来てね」

冴木が声を掛けると、一人が満面の笑みで返事をした。

写真を頼んできた人のうち、実際にどれくらいの人が店に足を運んでくれたのかは知らないけれど、この人達は多分行かないだろうなと思った。あくまで僕の推測だけど。


「あのー」

キャーキャーと撮った写真を確認していたかと思うと、一人が僕の服を突いた。
それから、一枚のメモ用紙を差し出す。

「これ、よかったら連絡下さいっ」

「おお、曾根、やるじゃん! モテるねぇ!」

無理矢理それを僕に押し付けると、彼女は連れの友達と笑い合った。

紙には、丸く崩した字体で彼女の連絡先が書かれている。
僕は返す言葉なく、まるで他人事のように黙ってそれを見つめた。

「昨日見かけた時からかっこいいな、って気になってて」


見かけただけで?

それだけで?

「それって、」

僕が声を発すると、彼女は何かを期待するような目で僕を見た。

唇の感覚がない。冷淡な目で彼女を見据える。

「それって、どこを見てかっこいいと思ったの?」

「は?」

「僕のどこを見てかっこいいと思ったわけ?」

僕の質問に、執拗に細工や化粧を周りに施した目が端へ泳いでいった。戸惑っているようだった。

「え、どこって……、見た目がタイプだから声掛けたんですけど……?」

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