少年少女リアル
遠くでは、陽気な音楽に引き続いてマイム・マイムが流れ始めていた。
音楽に疎い僕でも曲名は知っている。曲中に何度も連呼するから、これは簡単だった。
「佳月、僕ってどんな奴だ?」
「面倒臭い奴」
佳月の即答に、自然と笑いが零れた。
「当たってる」
身体はまだ熱っぽい感じがしたけれど、ひどく波立つ様子もなく、穏やかな気分だった。
深く息をする。
佳月は黙ったまま、遠くを見ていた。
「何もない事、ないんだ。ひどい事をした、たくさん」
「……向井に?」
「それなのに、自分勝手、だよな。今更……もう謝りようもないのに」
それなのに、許されたいと思っている。
「はは……都合良すぎ」
佳月はガリガリと頭を掻いた。
それから、如何にも怠そうに、ふん、と鼻から息を漏らした。
「ああ、もう、本当に面倒臭い奴だな」
黙って眉を顰める。
佳月はもう一度息を吐くと、次は睨み付けるような強い目で僕を見据えた。
「何があったか知らねーけど、ここで一人で完結させた方が自分勝手だろ」
「でも、これ以上……」
「俺に言うな。言うべき人に言え。それでどうにもならない奴にしか、愚痴を零す権利なんてねーんだよ」
何の俺様ルールだ。
それっぽい事は言っているけれど、佳月はいつも愚痴ばかり零しているじゃないか。
音楽に疎い僕でも曲名は知っている。曲中に何度も連呼するから、これは簡単だった。
「佳月、僕ってどんな奴だ?」
「面倒臭い奴」
佳月の即答に、自然と笑いが零れた。
「当たってる」
身体はまだ熱っぽい感じがしたけれど、ひどく波立つ様子もなく、穏やかな気分だった。
深く息をする。
佳月は黙ったまま、遠くを見ていた。
「何もない事、ないんだ。ひどい事をした、たくさん」
「……向井に?」
「それなのに、自分勝手、だよな。今更……もう謝りようもないのに」
それなのに、許されたいと思っている。
「はは……都合良すぎ」
佳月はガリガリと頭を掻いた。
それから、如何にも怠そうに、ふん、と鼻から息を漏らした。
「ああ、もう、本当に面倒臭い奴だな」
黙って眉を顰める。
佳月はもう一度息を吐くと、次は睨み付けるような強い目で僕を見据えた。
「何があったか知らねーけど、ここで一人で完結させた方が自分勝手だろ」
「でも、これ以上……」
「俺に言うな。言うべき人に言え。それでどうにもならない奴にしか、愚痴を零す権利なんてねーんだよ」
何の俺様ルールだ。
それっぽい事は言っているけれど、佳月はいつも愚痴ばかり零しているじゃないか。