少年少女リアル
 首筋に触れると、彼女は抵抗を図った。と思う。
あんなか細い腕じゃ、抵抗にもならなかったのだろう。僕には、腕を制した記憶すら残ってもいない。


ボタンに手を掛け、露になっていく白い肌。
首筋の熱が妙に官能的で。
口づけた頃には、僕が僕じゃなくなっていた。


「……いやっ」

嫌がる彼女の言葉は、僕に届いていた。けれども、無視をした。

あの時の僕には、触れる度に漏れる声と大差なかった。

彼女の声を気に留めず、欲望のままに、僕は無言で彼女を抱いたのだ。

狂っていた。


僕は、向井さんを犯した。


彼女は、泣いていた。


僕は、最低だ。

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