少年少女リアル
 二年の教室から職員室はわりと近い。
この距離だというのに、錘をつけたような足にとっては十分長く感じられた。


僕と彼女、向井さんが同時に呼ばれるなんて、昨日のこと以外考えられない。
しかも、このタイミングで。

何て言われるのだろう。

厳重注意?

いや、僕の処分は確定だ。退学かもしれない。

戻れるならば、昨日の、この時間へ戻りたい。
そうすれば、誰も傷つけずに済んだのに。

彼女の泣き顔が瞼に焼き付いて離れない。
瞬きをしただけでも、フラッシュが映ってしまう。


角を曲がると、丸い字体の「職員室」の札が見えた。

そのすぐ下に黒髪の――、向井さんが立っていた。


「あ、」

僕の顔を見た途端、逃げるように職員室の中へ入ってしまった。

ああ、もうダメだ。


しばらくして、担任の教師がドアから顔を出した。

「おう、曾根。ちょっと待っててくれるか」

返事をすると、すぐにパタンとドアが閉まった。

自己嫌悪と最悪な事態を想定しながら、時間を潰す事になるのか。
廊下に立っているだけで、目眩がした。
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