少年少女リアル
 夏目さんはいつも通りだった。
少し間が空いたけれど、日に焼けた様子もないし、特別に可愛くなったとかそういう変化も特にない。
不機嫌そうに口を結んでいる。これが彼女の「いつも通り」なら、案外、僕等は似た者同士なのかもしれない。
夏目さんの考えている事は、僕にはさっぱり分からない事ばかりだけれど。


僕が言葉に詰まったせいで、会話は途切れてしまった。沈黙の中で、妙に冷房や蝉の声が不自然なほど耳につく。
ぼんやり夏目さんへ視線を向けていると、逸らす隙もなく、目が合った。

「何?」

「いや、何も」

夏目さんは開いていた帳簿を閉じ、じっと僕の顔を見据えた。

「曾根君、モテるでしょ」

「何を、いきなり……」

この前の元橋さん然り、何なんだ。

夏目さんは悪戯っぽく笑った。桜色の唇が弧を描く。まるで漫画の悪役みたいだ。

「でも、すぐフラれる。違う?」

「趣味なの? 人間観察」

「癖と言ってちょうだい」

どんな癖だよ。
本当に、この人は変わっている。話す度にいつも感じさせられる。
呆れて笑いが零れた。
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