少年少女リアル
「以上、モテるけどすぐフラれるっていう私の推測。まぁ、それに、曾根君って変わってるもの」
「それ、夏目さんにだけは言われたくないよ」
冗談のつもりか分からないけれど、あまりの可笑しさに、思わず笑いのスイッチが入ってしまった。
吊られて、夏目さんも笑う。猫みたいな目がくしゃっと潰れ、この人は、笑っていた方が愛らしいと思った。
不思議な事に、大声で笑うよりも、声を殺して笑う方がなぜか笑いが止まらなくなる。
静かな図書室に笑い声が漏れてしまうのは御法度なのだ。
声を我慢するのは、腹が縒れてしまうんじゃないかと思うほど苦しかった。
「夏目さん、占い師にでもなったら?」
「どうして? 図星だった?」
「当たってるかどうかは別として、妙に説得力があるからだよ」
ありがとう、と吐き捨てるように笑う。
「でも、きっと駄目ね。私、あんまり他人を好きじゃないから」
それなら、どうして人間観察が趣味なんだ。
謎は謎のままだったけれど、案外、推測は外れているとも言えなかった。
僕が笑うと、夏目さんも自分を皮肉るように笑った。