少年少女リアル
第四章 苛立ち
「曾根君、脱いで」
「は?」
当然の如くそう返した僕を見て、矯笑を浮かべる。
顔を合わせて一言目が、脱げ、だなんて。あんまりじゃないか。
「いいから」
「ちょっと、待って。意味が……」
分からない。
そう続けようとした時、胸に何かが押し付けられた。冷たい汗が額を流れていく。
「やっと、やぁっーっと、出来たの! 曾根君の衣装!」
元橋さんは満面の笑みを僕へ向けた。笑顔の似合う、可愛らしい人だ。
僕の胸元には、丸々とした袋が押し付けられている。
「お疲れ様」
「中間アピールまでに完成させたかったから、本当に良かったよぉ」
二学期の頭にある中間アピールで、全校生徒の前で宣伝する作戦らしい。時間枠も抽選で勝ち取ったのだとか。
気が付けば、八月も中旬に入ってしまった。文化祭に力を入れている人達は中間アピールに向けて、時間がないと皆あくせく働いている。
「だから、早速着てみて!」
「え?」
「え?」
目を見合わせる僕等は何だか滑稽だ。話しているのは二人だけなのに。
「何で、僕が?」
「だって、曾根君の衣装だもん。合わない所があったら、直さないといけないし」
思わず眉を顰めそうになったのを堪える。腑に落ちないまま、袋を受け取った。
「は?」
当然の如くそう返した僕を見て、矯笑を浮かべる。
顔を合わせて一言目が、脱げ、だなんて。あんまりじゃないか。
「いいから」
「ちょっと、待って。意味が……」
分からない。
そう続けようとした時、胸に何かが押し付けられた。冷たい汗が額を流れていく。
「やっと、やぁっーっと、出来たの! 曾根君の衣装!」
元橋さんは満面の笑みを僕へ向けた。笑顔の似合う、可愛らしい人だ。
僕の胸元には、丸々とした袋が押し付けられている。
「お疲れ様」
「中間アピールまでに完成させたかったから、本当に良かったよぉ」
二学期の頭にある中間アピールで、全校生徒の前で宣伝する作戦らしい。時間枠も抽選で勝ち取ったのだとか。
気が付けば、八月も中旬に入ってしまった。文化祭に力を入れている人達は中間アピールに向けて、時間がないと皆あくせく働いている。
「だから、早速着てみて!」
「え?」
「え?」
目を見合わせる僕等は何だか滑稽だ。話しているのは二人だけなのに。
「何で、僕が?」
「だって、曾根君の衣装だもん。合わない所があったら、直さないといけないし」
思わず眉を顰めそうになったのを堪える。腑に落ちないまま、袋を受け取った。