少年少女リアル
中には黒い上着のようなものと、シャツが入っていた。シャツは皺だらけだ。
登校して早々、まだ汗の乾かないうちに、まさか衣装を試着させられるなんて、思ってもみなかった。
今日はいつもより人数が少ない。佳月の姿も見当たらず、今が盆休み中である事を思い出した。
制服を脱ぎ、皺の寄ったシャツを手に取ると、絡まっていたらしいネクタイがするすると滑り落ちていった。僕が染めた棒ネクタイとは、どうやら違うようだ。
ボタンに手を掛けたところで、普通のカッターシャツと形が違う事に気付いた。
「凄いでしょ? 改造するの大変だったんだよ」
襟の辺りを改造したのか。よく見ると、確かに首回りに縫い目がある。
誉め言葉を告げると、元橋さんは満足気な笑顔を見せた。
ネクタイを取り出したところで、再び手が止まる。
「あ、曾根君、ネクタイの締め方分かる?」
うちの制服は学ランだったし、過去にネクタイを締めた事なんてなかった。だから、知っているはずもないわけで。
元橋さんに任せっぱなしで何だか申し訳がない。ごめん、と言い加えると、元橋さんは僕の言葉を繰り返した。
「ごめん、私もあんまりよく分からないんだ。困ったなぁ」
「え、知らないの?」
衣装を考えた本人なのに。
ちゃっかり笑って誤魔化されてしまった。元橋さんは、やっぱり女だ。
登校して早々、まだ汗の乾かないうちに、まさか衣装を試着させられるなんて、思ってもみなかった。
今日はいつもより人数が少ない。佳月の姿も見当たらず、今が盆休み中である事を思い出した。
制服を脱ぎ、皺の寄ったシャツを手に取ると、絡まっていたらしいネクタイがするすると滑り落ちていった。僕が染めた棒ネクタイとは、どうやら違うようだ。
ボタンに手を掛けたところで、普通のカッターシャツと形が違う事に気付いた。
「凄いでしょ? 改造するの大変だったんだよ」
襟の辺りを改造したのか。よく見ると、確かに首回りに縫い目がある。
誉め言葉を告げると、元橋さんは満足気な笑顔を見せた。
ネクタイを取り出したところで、再び手が止まる。
「あ、曾根君、ネクタイの締め方分かる?」
うちの制服は学ランだったし、過去にネクタイを締めた事なんてなかった。だから、知っているはずもないわけで。
元橋さんに任せっぱなしで何だか申し訳がない。ごめん、と言い加えると、元橋さんは僕の言葉を繰り返した。
「ごめん、私もあんまりよく分からないんだ。困ったなぁ」
「え、知らないの?」
衣装を考えた本人なのに。
ちゃっかり笑って誤魔化されてしまった。元橋さんは、やっぱり女だ。