少年少女リアル
元橋さんは僕の腕を掴むと、せっせと衣装を縫っている固まりへ突っ込んでいった。
「ねぇ、誰かネクタイの締め方知らない?」
人数が集まらなかったためか、今日は全員が衣装作りをしている。さっき、元橋さんが誇らしげに言っていたシャツの改造が行われていた。
武村が背中を丸めて針を睨んでいる姿は異様な光景である。
「奈央、分かるって!」
「えっ」
向井さんと目が合う。
「悪いけど、曾根君に教えてあげてほしいの」
「いいよ」
先に目を逸らしたのは、向井さんの方だった。どうして、いつもこうタイミング良く彼女が出てくるんだ。
「冴木君もついでに教えてもらって!」
「へ? 俺?」
冴木を強引に巻き込むと、元橋さんはネクタイを向井さんに渡した。
首元にネクタイを回し、器用に指を動かす。向井さんの襟には、いとも簡単に、綺麗なネクタイの形が作られていた。
「こんな感じだよ」
「早すぎて分からん」
冴木と元橋さんの声が被る。声には出さなかったけれど、同じ事を思った自分がどこか笑えた。
「ねぇ、誰かネクタイの締め方知らない?」
人数が集まらなかったためか、今日は全員が衣装作りをしている。さっき、元橋さんが誇らしげに言っていたシャツの改造が行われていた。
武村が背中を丸めて針を睨んでいる姿は異様な光景である。
「奈央、分かるって!」
「えっ」
向井さんと目が合う。
「悪いけど、曾根君に教えてあげてほしいの」
「いいよ」
先に目を逸らしたのは、向井さんの方だった。どうして、いつもこうタイミング良く彼女が出てくるんだ。
「冴木君もついでに教えてもらって!」
「へ? 俺?」
冴木を強引に巻き込むと、元橋さんはネクタイを向井さんに渡した。
首元にネクタイを回し、器用に指を動かす。向井さんの襟には、いとも簡単に、綺麗なネクタイの形が作られていた。
「こんな感じだよ」
「早すぎて分からん」
冴木と元橋さんの声が被る。声には出さなかったけれど、同じ事を思った自分がどこか笑えた。