少年少女リアル
 どれぐらいの時間が経っただろう。
そもそも、いつからここにいるかも分からない。

悪い方へ考え出したら、キリがなかった。
きっと「最悪」なんてものはないのだと思う。
「最も」なんて、曖昧な言葉だ。

そして、彼女の身よりも、自分のことばかり考えている僕は「最低」だった。


力なく溜め息を吐いていると、ゆっくりとドアが開いた。

「お待たせ」

担任の教師は僕を見つけると、中に入るよう促した。
腰が今までにないほど、重い。鉛なんかよりももっと。

コーヒーの匂いに吸い込まれるように、職員室へ入ると、ドアの近くで向井さんとすれ違った。
下を向いていたので、彼女がどんな顔をしていたか見えなかった。


どうした?と声を掛けられ、我に返った。

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