少年少女リアル
 担任の教師から薄い冊子を手渡され、目を通す。
上に「推薦一覧」と書いてある。

「前言ってた大学の推薦枠だよ」

「え?」

「え?じゃないだろう。お前が見せて下さいって言ってたんじゃないか」

担任の教師は力強く僕の腕を叩いて、笑った。

そういえば、前に頼んだ覚えがある。
手の力が急に抜け、危うく冊子を落とすところだった。

「……ありがとうございます」

「まぁ、今の成績のままなら、推薦はどこも大丈夫だろ」

頭が真っ白になった。

反応が鈍る。作り笑顔なんて、とても作れそうにない。

反応が薄いのを見兼ねてか、教師は話を切り上げようとした。


「僕に話って、」

これだけですか?


口を噤んだ。

廊下で散々な想像を巡らせた、あの無限のような時間は?


「待たせてすまんかったな、これだけだ」

もやもやしながらも、軽い足取りで職員室を出た。
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