少年少女リアル
 実際にしんとしているのか、僕の周りから音が消えてしまったのか、どちらだろうか。

真っ白になった頭に、一本の線が伸びてきて、一瞬にして、それはぐちゃぐちゃに丸まって、もはやそれが何だったのか分からなくなってしまった。

ふ、と笑うと声が耳に残響して、実際に辺りが静かだった事が分かった。

「は? 何、言ってるの?」

残酷な言葉だった。
口にした途端に、静かだった波が揺れ始める。

「そんなに僕をからかって楽しいかよ」

言葉を選ぶ事が出来ない。そんな余裕すらもない。

声が震える。

「からかってなんかないよ」

「じゃあ、どうして僕に付き纏うんだよ。どういうつもりでそういう事言うわけ?」

「だから、私はただ曾根君が好きで、」

口火を切ってしまったら、もう止められない。冷静じゃない言葉が脳を通らずに、口から滑り出ていく。

「抱かれたら好きになるの?」

「ちが……」

補正すらできずに。

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