Taboo Apple ~side Ryota~
「ごめん。龍兄」









「いや。兄さんは?」






「リビング。でも助かった。りんご、戻ってきてからずっと無表情で。目元赤かったから泣けたんでしょ?」






「ああ。このところ眠れなかったのもあるだろうけど、泣き疲れたんだろ」








階段を降り、リビングに足を向けた。







「兄さん」







ソファーで肩を落とす兄の姿。秀司の母親が亡くなったときの姿に重なった











「龍太。悪い。早かったな」











「すぐキャンセルでたし。りんご寝かしてきた。泣き疲れたみたいだったか
ら」









「……俺がしっかりしなくちゃいけないのにな」









視線を伏せた兄さんは、ひどく寂しそうだった
< 19 / 38 >

この作品をシェア

pagetop