The second lover.
1st.the second lover



「あの、あたし、

せ、先輩のことだいすきですっ!」


ついに言ってしまった。
言うつもりなんかなかったのに。
あまりに先輩が

……優しく笑うから。



愛しさと切なさが胸から溢れ出して
とうとうあたしは
気持ちを抑え切れなくなった。


「……俺、彼女いるよ?」


うつむいてたあたしの顔を
覗きこんで先輩は残酷な言葉を告げる。


「………………知ってます」


そんなこと知ってる。
知ってるけど……知ってるのに
気持ちがとまらなかった。

涙がこぼれそうになって
あたしは唇を噛む。


「俺、彼女のこと大好きだよ?」


「それも…、知ってます」


だって今まで
先輩のこと見てたから。


先輩が彼女を見つめる
愛しくてたまらないって
ひしひし伝わってくるあの瞳。

それさえも、好きだと思った。



「あの〜、すいません。

やっぱ―…忘れてください」


沈黙がつらかった。
好きな人を困らせたくない。


えへへ、と力無く笑って
先輩の前から立ち去ろうとしたとき
右の手首が熱を帯びた。


先輩が、
あたしの手首を掴んでた。




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