MURASAKI
「えー。そんな事言わないで行ってみようよ。もう大人になったんだしさ」
「わざわざ高いお金払ってまで行く必要なんかないし。だいたいお酒ならコンビニとかで買えるし」
「でもさ、お酒は買えるけどあんなにかっこいい人と一緒に飲める機会なんかないよ?それにホストって甘ぁい夢見せてくれるって聞いたよ?」
甘い夢?
「ばっかみたい。騙されてるのも知らないでさ」
冷たく吐き捨てて席を立った。
イライラしながら会計を済ませ、莉奈を置き去りにして店を出た。
カバンからタバコを取り出して火を点ける。
あんな言い方をして悪いとは思わない。
それが現実なんだから。