今日も地球の上では☆2
えっ、あの、まさか。

純一郎さんが、私を静かにベッドへ下ろした。



私はとっさに、左肩を押さえた。

左側の背中にある、あの醜い跡……見られたくない!

嫌われたくない!



思わず、ギュッと目を瞑ると……。

押さえていた右手の甲に、何か温かいものが触れた。



恐る恐る目を開けると、それは純一郎さんの唇だった。

まるで氷を溶かすかのように、優しくずっと押し付けられている。

堪えられなくなった手が、ピクッと動くと、純一郎さんの唇が離れた。



そして、数cmの距離で、視線がぶつかった。

『フッ』と、不敵な笑みを浮かべる純一郎さん。



「目に見える物だけが全てじゃない。体に残った傷跡は消せないけど……心に残った傷跡は、俺が消してやる」



その言葉の後、純一郎さんの手が私のブラウスのボタンを外し始めた。

私は我に返って、純一郎さんをグイッと押し戻した。



「ダメ! ヤダ! 背中の跡を見たら、きっと、純一郎さんも私に触れたくなくなるよ? 嫌いになっちゃうよ?」



「俺の事を、見くびるなよ!」



ビクッ

純一郎さんが怒鳴ったので、驚いて押し戻していた手の力が抜けた。



でも。

純一郎さんの顔を恐る恐る見ると、言葉とは逆に、優しい笑顔をしていた。


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