今日も地球の上では☆2
「ハァ」

えっ?

「パーキング、入って」

「純一郎さん!」



やっと反応があって、ホッとしてパーキングに車を入れた。

停車した途端、純一郎さんが私をギュッと抱き締めた。



「しばらく、こうしていてくれ」

「純一郎さん……」



私は一昨日の、純一郎さんが帰宅した時の事を思い出した。

ギュッと抱き締め返す。



「このまま純一郎さんがどうにかなっちゃうかと思った……よかった、無事で……」

「当たり前だろ?」



そう言った後、純一郎さんがフッと笑った。



「純一郎さん? どうしたの?」

「ん? ああ……俺、ずっと思っていた事があったんだ」

「えっ?」

「いっつも風花は俺と話す時は敬語で、壁を作っている気がしていたから、いつか敬語じゃない言葉で会話が出来たらいいなぁ……って」



あっ!

時々何か言いたそうにしていたのって、それだったの?



「今、気が付いた。仕事モードだと『純さん』で敬語。プライベートモードだと『純一郎さん』でタメ語……無意識に使い分けてるんだな」

「えっ? そうかな? ……気が付かなかった」

でも、そうかもしれない。



「さっきは嫌な予感がした時にはもう遅かったけど……以前、あのトンネルであった事故で亡くなった人達の魂が数名あそこに残っていて、その霊が一気に体に入ってきて体が思うように動かなかったんだ」

「大丈夫、なの?」

「ああ。風花が居たから戻って来れた」



安心したら、ポロッと涙が零れた。



「純一郎さん」

「ん?」

「私、この先ずっと……純一郎さんと一緒に生きて行くって、決めたから」

「ああ、分かっている」



やっぱり。

思わず、クスッと笑った。


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