地獄からのメッセージ
ふと反対の方角を見ると、小さな小屋らしきものが2km程先に見えた。


俺は、降ろした荷物を隠した窪みを布で覆い、上から土を掛けて隠した。


そして、見つから無い様にして、その小屋に向かい、15分程で到着した。


かなり前に造られたらしく、あちらこちら壊れて中が見えるが、人は居ないようだ。


崩れかけのドアを開けて中に入った俺は、そこが昔の猟師の作業場だと判った。


隅にある樽には火薬が入っていた痕跡があり、旧式のストーブや、空になった灯油缶に混じって、ライフル等の手入れに使うオイルや鳥を脅して飛び立たす為の威し筒が有った。


俺はひょっとして?と思い、隅から隅まで探して、遂に良い物を発見した。


思ったとおりである。


探していたのは威し筒に使う「カーバイト」であった。


それは、水に濡れ無い様にステンレス製の頑丈な容器に入っており、上からビニールシートで包んであった。


それを全て背負ってきたリュックに入れた。ついでに、其処に有った石灰の粉が入った袋も頂いた。


それらを持って先ほどの場所に戻った。


誰かが来た形跡が無いか丁寧に調べたが、大丈夫の様である。

 
長い間、工場の中を覗いていたがトラックの出入りは全く無く、異様に静まり返っていた。


建物の中は遮断されていて窓からも中が覗けない様になっている。


表に止まっている車もまるで現金輸送車の様に改造されたトヨタのエスティマで、窓は無くタイヤも19インチの大きめなラジアルタイヤだし、違法のハイパワー無線機のアンテナも見える。


この分だとエンジンルームもかなり手を加えられている事であろう。


後部のハッチの横には不必要な小窓まである。


多分挿射口にでも成っているのであろう。

 
暫く様子をみてから双眼鏡から目を外し、クッキーの缶を開けて中身を頬張り、残りを別の袋に詰めて封をした。


ジュースの栓を口で開け、ビンの中のコーラで口の中を洗い流した。




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