地獄からのメッセージ
暫くしていると、下卑た笑い声と共に数人のチンピラらしき男が入って来た。
『それにしてもコイツ、何時まで寝てりゃ気が済むんだ。
もう二日も寝ているぜ。
こいつのお陰で俺達まで大目玉食らってしまったぜ。
工場もメチャクチャにされたし、ボディーガードも殆どやられたらしいぜ。』
『俺なんか、右足に弾が掠っただけで済んだが、それでも未だにひりひりするぜ。』
と言って、俺の腹に一発入れながら、顔に唾を吐き掛けて来た。
小さくうめきながらも、未だ眠った振りをした。
『ランビット総督も、ワルだぜ。片方では、国家を守りながら、もう片方では内乱を起こさせて儲けているしよ、他の国にまで武器を売りつけているんだからたいしたもんだぜ!
こいつは、タイに居る時に総督と知り合い、彼の下で働いていたらしいが、まさか、ここで出くわすとは思っていなかっただろうな。』
― 漸く背景が見えてきたぞ。俺はいったい今まで何をしてきたんだろう。あの時から、こうなる事をランビットも思っていなかったであろうが、俺自身も驚いたぜ。
それにしても、ここから抜け出す事を考えなくては・・・ ―
その時、ランビット総督が部屋に入って来た。
俺は一瞬焦ったが、それでも寝た振りを続けた。