地獄からのメッセージ
この内乱では,俺自身大きな怪我をしたが、俺の友人の何人かは命を落としているのだ。
それを知った時から密かに復讐を考えていたが,その為には金は必要である。
そこでランビット総督の誘いに一も二も無く乗ったのであった。
俺は、アジア各国で生活をしているタイ大使館員ほか,政府機関に携わる人達をテロリストから守ったり、クーデターを鎮圧させたりしていた。
そして、何時の間にか金で動く殺人マシーンと化してしまっていた。
俺は、タイ以外ではラオス・ミャンマー・韓国・インド・中国・ベトナム・カンボジア等で暗躍していたが、空しくなり一線から退かせて欲しいとランビット総督に頼んだ。
かなり引き留められたが、最終的には
《何か有れば何時でも会いに来てほしい》
と、ランビット総督の言葉を背中で聞きながら、俺は部屋を出て行った。
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大きな金を手にした俺は平成7年、久しぶりに日本に帰国した。
その後、今の小さな電気屋の店員となり、暫くの間静かに過ごしていた。
昔を思い出していた俺は、ふと我に帰った。
小さなアパートの、俺の部屋のドアをノックする音が聞えてきたのである。