地獄からのメッセージ
『それじゃ、地図を書いてもらおうか?』
『書けと言われれば書くが、あんた達では地図を見ても行き着くことは出来ないぜ!
それより、俺が仕掛けてあるトラップに掛かり、大怪我をするのが落ちだ。
俺を一緒に行かせろ。
そうすれば、俺が集めた全ての企業の秘密をあんた達に渡せる。
幾ら優秀な部下でも、探すのには何週間も掛かるし、怪我人を出さない為にも其の方が懸命だと思うが…。』
『それじゃ、車を用意しろ!1時間後に行く!』
と部下に命じてから、タバカレラの葉巻に火を付けて煙を口の中で燻らせて静かに噴出した。
『オイ!待ってくれ!
何も準備無しで行くのか?
最低でも、ザイールや水、それに防寒具と4輪駆動車や登山靴が要るぜ!
こんな格好で行くのは自殺行為だ。』
『判った。用意させよう。お前の分もな!』
そう言って、サイドテーブルの上に有ったインターホンで何処か他の部屋に居る部下にそれを伝えた。
1時間後、俺達は彼等が用意したランドクルーザー4800ccの車内にいた。
相変わらず俺の手には手錠が嵌められている。
こんな手錠、外すのは簡単だが今は大人しくしておく。
時が来れば、何倍にもしてこの借りは返してやる、と腹の中でつぶやきながら。
俺の目は獣のような輝きを帯び、北に向かう東名高速を睨みつけていた。
沼津インターから東北へ向かい、1時間程して「東京」に入った。
其処からさらに北へ向かい、幹線道路を「春日部」から「岩槻」に入り、更に高速で「宇都宮」まで来た頃休憩になり、サービスエリアへと向かった。
そこで飲み物を新たに購入して再び車は動き出した。
3時間ほど走った頃漸く「一関」が近ずいて来た。
「岩手県」を右手に見ながら「横手」方面に向けて更に2時間程走らせた頃、目的地は目の前に広がって来た。