地獄からのメッセージ




其処は奥深い山の中で、暫らく行くと段々道が狭くなり、最後には車が入れなくなって来た。車内に居た時は気が付かなかったが、もう11月に入っているので外はかなり肌寒い。


外に出た我々は、俺を先頭に歩かそうとするので、


『オイ!待ってくれよ!手錠を嵌めたままじゃここから先には進めないぞ。

暴れないから手錠を外してくれ!』

と言うと、ランビット総督が顎をしゃくり部下に外すように指示した。


恐る恐る近ずいてくるチンピラを睨みつけると、お互いに押し付けあうようにして鍵を差し出してきた。


それを受け取り、起用に片手で手錠の鍵を外していった。


登山靴に履き替え、防寒具を着込んで先頭になって歩き出した。


その時、外した手錠を何食わぬ顔をして自分のポケットに仕舞い込んだ。


『ところで,あんた達が東南アジアに向けて作っている

「対戦車ライフルIWS2000」

の各パーツ、そんな事をして,もう一度戦争を巻き起こそうとでも企んでいるんじゃないだろうな!

そんな事をしてまで大金を手にして、夢見が悪かろうに!』


『そんな事まで知っているのか!

相当情報が持ち出された事になるな。

まぁ、知っているなら話しは早い。

オーストリアのステアー社が極秘に開発した対戦車ライフルは、IWS2000と名ずけられている。

15.2mmの弾でタングステン・カーバイドと言う超硬質金属を素材にした60口径徹甲弾APFS-DS(ダーツ・ペネトレーター弾)を使用している。

貫通力は1000メートルで40㎜の鋼鉄を貫通する威力だ。

対戦車ライフルなど50口径以上のライフルは対人狙撃の使用が国際条約で禁止されており IWS2000の本来の使用目的は軽装甲された車両や人員輸送&戦闘用ヘリ・航空機・燃料やレーダー装置や通信装置などへの攻撃を意図したものだ。

が、しかしいざ戦争が始まればそんな事関係なく使われ、その威力で対戦国は大きな痛手を負ってしまう。

そこで私がその対戦国にも武器を売りつけると言う訳さ。

お金を多く持っている国が勝つ仕組みに成っているのさ。

そのお陰で俺達は豊かな生活が送れると言う寸法よ! 

そんな事より、未だなのか?』

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