地獄からのメッセージ
『この先を沢に向けて降りていかなきゃいけない。
気をつけてくれよ。
一歩間違えたら奈落の底だぜ!
それに、沢に着いてからが大変だ。
俺は、至る所にトラップを仕掛けているから、串刺しにならないように十分注意するんだな!
まぁ、俺に付いてくれば安全だが、付いて来れるかな?
かなり鍛えていないと死人が出るぜ!』
『ゴチャゴチャ言ってないでさっさと案内しろ!
俺の部下だって一応訓練させているんだぜ!
まぁ、昔の傭兵程ではないが、これくらいの山なら問題無いだろう。』
俺はシメタっと思った。
ここは、俺のテリトリーだから俺自身は問題無いが、舐めて掛かると、とんでもない場所だ。
気を緩めた奴等じゃ、まぁ沢に落ちるのが目に見えるようだ!
まぁ、俺様の武器が隠してある場所まで辿り着けば、皆殺しにしてやる積もりだが!
そうこうしている内に、急な昇り坂の手前にある大きな漆の木が、目に飛び込んできた。
その横には、微かだが獣道が見て取れた。
と言っても、殆ど草と潅木の中に埋もれていて、よっぽど注意しなければ判らない位のものだが。
そこをザイール無しで降りて行くのは至難の技である。
しかし、そんな事は気にせず、俺はどんどん沢に向けて降りて行った。
すると後方でランビット総督が叫んだ。
『おい!逃げる気じゃないだろうな!
そこで止まれ!
止まらんと撃つぞ!』
と疲れきった声が聞こえて来た。
『まさか!俺様だって大金が欲しい。
あんたを敵に回すより、大金を手に遊んで暮らしたいさ!
待っててやるから早く降りてきな!』
と心にも無い事を言い苦笑した。