地獄からのメッセージ




『この先を沢に向けて降りていかなきゃいけない。

気をつけてくれよ。

一歩間違えたら奈落の底だぜ!

それに、沢に着いてからが大変だ。

俺は、至る所にトラップを仕掛けているから、串刺しにならないように十分注意するんだな!

まぁ、俺に付いてくれば安全だが、付いて来れるかな?

かなり鍛えていないと死人が出るぜ!』


『ゴチャゴチャ言ってないでさっさと案内しろ!

俺の部下だって一応訓練させているんだぜ!

まぁ、昔の傭兵程ではないが、これくらいの山なら問題無いだろう。』


俺はシメタっと思った。


ここは、俺のテリトリーだから俺自身は問題無いが、舐めて掛かると、とんでもない場所だ。


気を緩めた奴等じゃ、まぁ沢に落ちるのが目に見えるようだ!


まぁ、俺様の武器が隠してある場所まで辿り着けば、皆殺しにしてやる積もりだが!


そうこうしている内に、急な昇り坂の手前にある大きな漆の木が、目に飛び込んできた。


その横には、微かだが獣道が見て取れた。


と言っても、殆ど草と潅木の中に埋もれていて、よっぽど注意しなければ判らない位のものだが。


そこをザイール無しで降りて行くのは至難の技である。


しかし、そんな事は気にせず、俺はどんどん沢に向けて降りて行った。


すると後方でランビット総督が叫んだ。


『おい!逃げる気じゃないだろうな!

そこで止まれ!

止まらんと撃つぞ!』


と疲れきった声が聞こえて来た。


『まさか!俺様だって大金が欲しい。

あんたを敵に回すより、大金を手に遊んで暮らしたいさ!

待っててやるから早く降りてきな!』


と心にも無い事を言い苦笑した。





< 23 / 69 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop