地獄からのメッセージ
悠に3m以上掘った穴の中には、先を尖らした直径5cmの木の槍が何本も天に向かって待ち構えている。
其処に落ちれば只じゃ済まない筈だ。
気付かれない様に慎重に誘き込むには、幾つかのトラップを実際に見せて信用させなければいけない。
出来れば罠を壊したくないが、そんな事を言っている状況でも無いので、先ずは細いピアノ線を這わしている場所に向けて歩き出した。
その場所は、沢沿いに行くと簡易の水飲み場として、俺が作っておいた岩からの湧き水を溜めて置けるようにしている所である。
案の定、連中は喉が渇いたらしく、その場所に近ずこうとしていた。
俺は、
『チョット待った!そこで水を飲むと死ぬぜ!』
と言って連中にストップを掛けた。
そして代わりに、水飲み場の手前あたりに大き目の枯れ木を投げ入れた。
途端にピアノ線に触れ、隣りの杉の木の中から槍の付いた大木が、水飲み場に向けて落ちて来た。
もし其処に立っていたら、間違い無く串刺しに成っていただろう事は一目瞭然である。
連中は目を丸くして驚き、すっかり俺を信用したみたいだ。