地獄からのメッセージ


それから少し行った所では、足元に這わしたピアノ線を草の中から取り出して見せた。


この上を通るとピンが外れて、地面の中に隠れている特殊金属で出来た網が持ち上がり、高さ10m以上までその中の獲物を包み込んでしまう仕組に成っている。

その事を教えてやると少し疑いの目で見る連中に、


『疑うなら自分で試してみるが良い。

しかし、そうなると降ろすのは大変だぜ。

まぁ、動物なら一気にロープを切り、高さ10mの高さから落として殺す手間を省く事が出来るが、あんた等はそうなりたくないだろう。』


と言って、先程と同じ様に木を投げ入れると、途端に網が勢い良く現れ空高く舞い上がった。


唖然とした顔で空を見上げた連中には、もう疑う顔は微塵も無く口々に仕掛けの出来を賛美しあっている状態だ。


ランビット総督ですら、


『さすが、傭兵として過ごして来ただけの事はあるな。

昔は、東南アジアのジャングルの中でかなり暴れまわってたからな。

しかし、大したもんだなぁ。こんなトラップが後幾つ有るんだ?』


『こんなのは序の口だよ。

まだまだ凄いのが50箇所以上は有りますぜ!』


と、飄々とした顔で答えた。


沢を降りてからは上流に向けて2時間近く登っただろうか。


数々のトラップを悟られずに避けながら例の落とし穴に近ずいてきた。


『もう直ぐだぜ、例の物は!

其処の大きなブナの木を左に曲がった所を少し行ったら洞穴が有り、その横に穴を掘って埋めてある。

しかし、未だトラップが残っているから、バラバラに成らないように歩いた方が良いぜ。

一人がトラップに引っかかると全員にトバッチリが来るからな。

トラップに掛からないように慎重に行かなければな。

俺が先頭に立ってトラップを解除しながら行くから解除した道上を来てれ!』


と言ってさっさと歩き出した。


連中と10m近く離れた所で俺は彼等から死角に入った。


俺は、如何にも真っ直ぐトラップを解除して歩いた様に見せかけ、落とし穴をやり過ごして広く開けた場所に立ち連中を呼んだ。


全く疑う事も無く彼等は真っ直ぐ集まって歩いて来た。


と、途端に全員目の前から消え去った。





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