地獄からのメッセージ
見事に罠に掛かった連中のウメキ声が地中奥から聞こえて来た。
穴の縁に近ずき、そっと中を覗きこむと、其処には足や腹、腕や胸等至る所
を串刺しにされた連中の姿があった。
口から泡のような血を吹きながら叫んでいるのを尻目に、
『ご苦労さん!
俺があんたの言い成りに成るとでも思ったのか?
総督ともあろう者が、甘いぜ!
ここは俺の庭と同じだと最初に言ったのを覚えているだろう。
こんなに簡単に罠に嵌るなんて、ベトナムの兵隊さんより頼りないぜ。
まぁ、あんた達は此処で死ぬんだが、言い残す事は無いか?』
と、行き成りランビット総督が必死の形相で拳銃を抜いて来た。
が、所詮死にぞこないの老人、背中に隠してあったベレッタM92-Fを抜き、慎重に総督の眉間に向けて発射した。
序でに部下共々地獄に送ってやった。
無表情な目の奥が暗く憂いを帯びていき、そして完全に息の根が止まったのを確認した俺は、来た道を通らずに車が止めてある場所に戻った。
それは何と1時間後の事であった。
実は、今まで通ってきたルートはかなり遠回りで、全く苦労せずに来る事が出来るのである。
俺の庭だから。