地獄からのメッセージ



『どうぞ!』 


吐き出す様にそれに答えた。


立て付けの悪いドアを開けながら、同僚の関口が六畳一間の俺の部屋に入って来た。


『さっきパチンコに行って来たら、

出るわ!出るわ!

で、掛け金抜きで5万程儲かったから差し入れを持ってきたぜ!』

相変わらず下品な口調だが悪い奴ではない。


仕事もそれなりに出来るし、俺が入った事で雑用等も減り俺に感謝してると何時も口癖の様に言っている。


俺に最初に仕事を教えてくれたのも彼である。


今は慣れてしまい、俺の方が仕事は上手いが一応先輩と言う事で、適当に彼を立てて、俺はと言うと片手間で仕事しているのが現実である。


家電の仕組みは、コンピューターソフトの開発に比べれば簡単である。


『いったい何を取ってきたんだい?』


『タバコにイワシの缶詰にスナック菓子とツマミ各種、それからこれだ。』


と言いながら,袋の中からクロバージェのブランディーを出して来た。


二人でそれをストレートで飲みながら昨晩見た深夜の低俗バラエティ番組の話しや,今の電気屋の親父はパソコンを触れねぇから,解らないと直ぐ俺に仕事を押し付ける等と愚痴を聞いたりした。


夜の9時を廻った頃、関口は帰って行った。

 

アルコール分を抜く為に銭湯に行った。

俺の住んでいるアパートには風呂がついていないのだ。


サウナバスを完備しているその銭湯は、アパートの真向かいに在る。


熱いお湯に浸かった後、冷たいシャワーを浴び、その後でサウナに入った。


20分近く我慢した後、再び水を浴び、それを3回程繰り返して行くうちに、汗で殆どのアルコールは抜けたみたいだ。




 
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