地獄からのメッセージ
彼の部下からすぐにランビット総督に連絡が入り、俺の出番となった訳である。
俺はすぐさま彼等のアジトを探り出し、翌日には彼等を皆殺しにしてピアット救出に成功したのである。
伊達に傭兵生活を送っていた訳じゃ無い。
その間に、俺様に情報を横流ししてくれるやつ等や平気で命を投げ出してくれる仲間が東南アジア各国に何人もいるのだ。
そんな俺が、田舎から出て来たばかりのマレー系の華僑マフィアの居所を掴むのなんか容易い事である。
その救出作戦は、俺とピアットの部下2名の計3名のみで行い、俺の行動の早さを目の当たりにした部下達は、その後ボスのピアットに俺の事を大絶賛で褒めちぎり、簡単に俺はピアットに取り入る事が出来たのである。
したがってピアットは100%俺を信用してくれる筈だ。
俺は昔の事に思いを巡らせながら再びサムローに乗り込み、今度はファイクワー
ンのラチャダピセック通りで降りた。
そこの近くにある雑貨屋で俺は、ジャックナイフのデカイやつとザイール、それにポラリスのミネラルウォーター数本買い込んだ。
今度は官公庁の裏手通りに回り、細い路地へと入って行った。
まるでその土地の者の様な足取りで。
暫く行くと右に折れその先の突き当たりのドアを乱暴に叩いた。
『カイ ヤ!』(誰だ!)
と奥から野太い声がした。俺は、
『チャムダイマイ プラディット!ポム コ ジョージナ!サバイディーラクラップ』(覚えてるかいプラディット!俺だ、ジョージだ!ご機嫌様!)
とドアを開けながら優しい目を向けた。
其処には昔一緒に戦った仲間が居るのである。
『オ~!ジョージ!ナンナ~ン マイコイヘンナ~!タンマイ マーティーニー?』(や~!ジョージ!久しぶり!どうしてここに?)
俺は、会社の崩壊、友人の死、その原因の全てがこのタイに在ると簡単に告げ、復讐の為にこの地にきた!武器を用意して欲しいと頼み込んだ。