地獄からのメッセージ
暫く暗い目をしていたプラディットだが、そのうち、
『トックローン ナ.アオ アライ バン?アライコ ミー ティーニー ナ.』
(OK!何が要る?何でもここには揃っているぞ!)
と快い返事をくれた。
俺は、サイレンサー付きのW-P38とS&Wの38口径リヴォルヴァー、それに先を切り詰めて全長を45cmに短くした水平二連の散弾銃と六四式自動ライフルと六二式機関銃、そして手榴弾を50個程用意して欲しいと頼んだ。
彼は今晩11時にもう一度ここにきて欲しいと言った。
俺は、彼と握手を交わし、其処に50,000バーツ手渡した。
俺は、其処から出てもと来た道を戻り、ラチャダピセック通りに出た。
相変わらずうだる様な暑さで、来ている服がジットリと汗でにじんできた俺は近くのレストランに入った。
アーハン ターイ『チェンマイ』と書かれた看板の名の通り、チェンマイ地方の料理を食べさせてくれるレストランである。
ちょっと早いが夕食を摂る事にして、《カントーク・ディナー》を頼んだ。
北部チェンマイの郷土料理のひとつで、このカントークは、食べやすい7~8種類の小鉢でおかわり自由なのである。
もち米を主食に、カレーや鳥・豚の唐揚げがあり、そのほかにも新鮮な魚をその場で調理してくれるのである。
それらをタイ舞踊のショーを見ながら食べられるようになっているのである。
しっかりと冷えたシンハービールを飲みながら2時間程掛けて3人分は食べた。
支払いを済ませ店を出た時には、既に夜の帳が降り始めていた。
時計を見ると7時を少し回っていた。まだ約束の時間までには4時間ほど有るので、腹ごなしにラチャダムリ通り近辺まで歩いた。
そこには高級ブランドを揃えた店や若者が好みそうな店などが入り混じった大型ショッピングゾーンが在り、それらを冷めた目で眺めながら歩いた。
途中、ポン引きまで居たが、彼等が華僑であると直ぐに判った俺は、ここでトラブルを起こしたら元も子もないと思い、そいつ等を避けるようにしてスリーウォン通りに向けて足を速めた。
大分胃もこなれて来たので、飛び込みで小さなバーに入り、ウィスキーを飲んだ。