地獄からのメッセージ
其処にはまだ17歳とも16歳とも見える少女がホステスをしていた。
お客はどうやら俺一人みたいだ。
数人のホステスが一斉に遣ってきて、何か飲んでいいか?と聞いてくる。
面倒臭い俺は、全員に好きな物を飲めと言って、30分ほどバカ話に付き合った。
計算してもらって俺は腹の底から笑いが込み上げてきた。
4~5人に飲まして俺自身ウィスキー1杯だけ飲んで8,500バーツと言うのである。
どうやら暴力バーに入ったみたいである。
それでも平然を装い、レジに向かった。
ヒゲタ笑いをしたタイ人のボーイはムエタイの心得が有るみたいで、筋肉質なボディーとつぶれた鼻が見て取れた。
俺は、胸の内ポケットから財布を出す振りをして、その手を勢い良く後ろから付いて来た男の右頬に裏拳を入れ、前から来た男にその反動を利用して左中段回しゲリを入れた。
丁度その場で俺は1回転した訳だ。
ホステスの悲鳴を後ろで聞きながら扉を開けて出て行った俺は、直ぐにサムローを捕まえてラチャダピセック通りに戻った。
騒ぎを起こしたくなかった訳だが、結局こうなっては早くしなければいけない。
明日にでもホアヒンに行く事を決めた俺は、時計を見た。
もう直ぐ11時であった。
周りを警戒しながら昼間来た路地に溶け込むように消えていった。
数分後、プラディットの家の前まで来ていたが、様子が変なので息を殺して暫く様子を見る事にした。
どうやら、他にも家族が居るのか、友人でも尋ねてきているようだが小さすぎる中での声は聞き取れない。
俺は裏口に回り、そおっと家の中に潜り込んだ。
其処には、武器密売人らしき人物がいて、プラディットと値段の交渉で意見が合わずに密売人がごねているのがとって伺えた。