地獄からのメッセージ
1911年にラーマⅥ世の弟が狩りでこの土地に訪れた時、その美しさに魅せられ別荘と海水浴場を作ったのがキッカケとなり他の王族も挙って別荘を建て、1926年に国王ラーマⅦ世が夏の離宮クライカンウォン宮殿を造り現在の一大リゾート地と成って行ったのである。
そして、そのリゾート地に立ち並ぶホテルの周りには、王室専用だったロイヤル・ホアヒン・ゴルフクラブを始め沢山のゴルフ場が建設されたが、その殆どのゴルフ場の権利は、実際にはピアットが持ち、その回りにあるレストランやナイトクラブ、リゾートビーチの全てを彼が手中に収めているのが公然の事実である。
車を走らせる事1時間、チャアムへと遣って来た。後少しでホアヒンである。
チャアムとは、かつて漁村であったが、チャアムビーチが岩場が無く、水も澄み海水浴に最適であると最近になって注目され始めた為、財力に物を言わせてピアット一族が地上げをして次々と高級ホテルを建設して行ったのである。
それらの建物を横目で見ながら次第にホアヒンへと向かっていった。
舗装された綺麗な道路を通って、終にクライカンウォン宮殿迄来た所でタクシーを止めさせた。
『ティーナイ ユー カジノ ルーチャック マイ?』
(カジノのあるところを知ってるかい?)
『ルー ナ クラップ!』
(知ってますとも!)
と言いながら、案内してくれた所は、高級ホテルであった。
その前にタクシーを止めて、ここのホテルの地下2階にある事を教えてくれた。
俺は、このホテルに泊まる事にして、タクシードライバーに5,000バーツを渡してトランクを開けさせた。
荷物をフロントまで持って行って上げると言う、ドライバーの言葉を制してスーツケースと重いボストンバッグを軽々と持ち上げ、肩に担いでドライバーに別れを告げフロントに向かった。