地獄からのメッセージ
両替所に残っているのは、28歳くらいの女性が一人いるだけで、残りの2人の女性は見当たらない。
俺は金をトランクに詰める様指示して、背後から人が来ないか集中させながら女性の動きにも気を配った。
数分で詰め終わった。
横にある金庫も開けさせ、その中にある現金も入れさせた。
2個のトランクは現ナマで一杯になった。俺は、女性を殴るのは趣味じゃないが、騒がれても困るので気絶さそうとした。
するとその女性が、
『待って!私も連れてって!』
と懇願してくる。
暫く考えたが、重い荷物を持つにしても、人手は助かるし、一人で行動するより、カップルを気取っていたほうが、目立たないだろう。
この場から離れられたらそこで捨てれば良いだけの事だ。
そう考えて、彼女を連れて行くことにした。彼女は、こんな人の金ばかり勘定する貧乏なだけの暮らしはもう飽き飽きだと言うのだ。
判らないでもない。
確かに、気分の良い物ではない。
しかし、ひょっとしたらこの女が俺のネックになるかも知らないし、いつ裏切られるかも知れないという事だけは頭の隅に置いておく事にした。
彼女は使えた。
人に見つからないで外に出るルートも、トランクを人目に付かなくする為に、クリーニングのカートが近くにあると言う事まで教えてくれた。
もしかして、彼女も何時かこの現金を我が物にしようと考えていたのかもしれない。
まぁ、そんな事は如何でも良い。
一秒でも早く此処から離れなければいけない。