地獄からのメッセージ
俺は、車に乗り込みクルンテープに戻った。
着いたのはもう既に朝であった。
俺は、小さな貸し部屋の前で車を止めて、空いてる部屋が有るか聞いた。
暫くしてカギを受け取り、かばんと現金を纏めて持ち部屋の中に入った。
小さな部屋で辛うじてシャーワーが有る。
荷物を天井裏に隠し、車に戻り、一番奥の見えにくい所に移動させた。
ここは、どうやら華僑の経営する貸し部屋では無さそうだが、一応、念には念を入れておいたほうが安全である。
車を悪戯されないようにフロントの男に1000バーツ握らせておいた。
俺は直ぐにシャーワーを浴び、髭を剃り、何時も携帯しているヘアカラーで髪の毛の色を茶髪にして、髪も短く刈り込んだ。
色物のサングラスをかけると、最近の若者がする感じのショートカットがしっくりくる。
ティーシャツとジーンズに穿き替え、スニーカーを履くとベッドに転がった。
しかし、思い出して起き上がり、ドアに針金を巻き付けた。
その端を窓のロックにピーンと張って引っ掛けておき、その針金にフック状にした短い針金を掛ける。
その先は輪ッかになっており、その輪の中にグラスを入れておいた。
不用意にドアを引くとグラスが落ちて知らせてくれると言うわけだ。
今度はベッドをドアから死角になるように引き摺って移動させ、その横に小さなテーブルをベッドの陰になるように置いた。
そのテーブルの上にバッグから取り出したS&Wの38口径リヴォルヴァーを置き、手入れを始めた。
カーボンカスを落とし、グリースを塗りなおし、組み立てるに約10分である。
輪胴に弾を込めそれからもう一度ベッドに戻った。