地獄からのメッセージ
朝方には、バンコク市内に戻ってきていた。
車の中で仮眠を取って、昼前に華僑が経営している近くの屋台で、鶏モモを甘辛く煮た物を、ライスの上に乗せている「五香鶏飯」と豚耳の唐揚げを食べて、セブンアップで流し込んだ。
その後、タバコを数本灰にしてからドウムアン空港に向った。
途中スポーツ用品店で、皮の袋と500gの鉄アレイを2個買った。
レイバンのサングラスと、ダークブルーのキャップ、黒のタンクトップの上から、サマージャケットと言う出で立ちの俺は、少し目立つかもしれないが、そんな事はどうでも良い!
腰の後ろのジャケットで隠れている部分には、S&Wの38口径リヴォルヴァーが、ズボンの裾の中には、先程の子分からせしめたデリンジャ-の小型拳銃を、それぞれ隠して、ジャケットの内ポケットには手榴弾が数個入っている。
取り合えず、これだけじゃ心配と車の中には、かなりの武器弾薬が隠してある。
これから戦争をおっぱじめようとしているのだから、当然であるが。
空港に着いてから、あたりを見渡したがピアット一族の姿は見当たらないし、警察も不審な動きをしていない。
俺は出迎えの人込みにまぎれて待つ事にした。
1時間程して弟のロングが言った通り、ピアットとそのボディーガード、それに日垣の常務と秘書らしからぬ、屈強な体格の男が出て来た。
暫く様子を見ていたが、出迎えが来ていないのを不審そうに見ていたピアットに、一人の男が近ずいてきた。
どうやら子分である。
何事か耳打ちをする仕草が見えたが、急に警戒心を露わに当りを見渡しながら、急ぎ足で、迎えが乗ってきた車に向った。
俺は見失わない様に慌てて車に戻った。
エンジンをかけて、何時でもスタート出来る体制を取り様子を伺った。
彼らが乗ってきた車は、ウイパワーディランジット通りまで来ると、チャーレームマハナコーンの高速道路に乗り、チョンブリ方面にむかった。