地獄からのメッセージ
気付かれ無い様に慎重に尾行を続けたが、サパンダム市場の辺りまで来ると急に減速し始めた。
バレタか?と一瞬焦ったが、取り越し苦労であった。
彼等は、その先のインターで降りて、左折した。
暫くしたら、右手にルンピニースタジアムが見えてきた。
胴元をしている部下が其処に居ると聞いた事が有るので、多分スタジアムの近くに事務所でも有るのだろうと考えられる。
ラマⅣ世通りを少し行った所で、右折した彼らに気付かれ無いように、少し通り過ぎてからUターンして引き返し、先程の路地を覗いてみた。
そこには、丁度彼らが車から降りるのが見えた。
ルンピニー公園の横に車を止めて、其処から歩いて先程の路地に戻った。
手には皮袋を持っている。中身は手榴弾20個である。
事務所の前まで来た俺は、腰にさしてあるS&Wを抜き取り、右手に持ち、皮袋は腰に縛り付けた。
事務所の隣には駐車場と倉庫、向かいには人気の無いムエタイのジムと汚い廃墟と化したビルが在るだけで、他には何も無い。
周りの様子を伺いながら、そのビルに忍び込んだ。
3階まで上がると、斜め向かいに在る事務所の中が手に取るように判る。
其処には、先程の4人と他に、5人程の部下が居て、冷たい飲み物を用意したり幹部らしき男は何やら興奮気味でボスに俺のことでも話しているのであろう。
話しを聞きながらピアットの顔が醜く歪んでいくのが手に取るように見える。
俺は、S&Wにサイレンサーを取り付けて、事務所のガラス窓目掛けて数発発射した。
その内の何発かは部下にめり込んでいった。
それから、その窓目掛けて手榴弾を3個ピンを抜いて2秒待ってから纏めて放り込んだ。
見事に3個とも、事務所の窓の中に吸い込まれていった。
空かさず身をかわして爆風を浴びないようにした。
その後直ぐに大爆発が起こり、事務所の屋根は吹っ飛び、窓側といわず殆どの壁が崩れ落ちていった。