地獄からのメッセージ




『そんな事を言って油断させて、後で俺たちを狙うのは目に見えている。

諦めるんだな!』


そして、相模湖に重石を付けて数年は浮かび上がって来ない様に沈めた!と報告すれば良いじゃないか!如何だ?』


暫く彼等は相談していたが、こちらに向き直り、

『その銭の在り処は?』


『ここからだと、車で飛ばして1時間も掛からない。相模湖インターから中央自動車道に入り、八王子I.C.で降りて、秋川を渡ったら、福生市に入る手前を東に入ると昭和の森ゴルフコースがある。

その手前に青梅線あきしま駅から直ぐ北側に昭和の森が在る。

その中に俺はしるしを付けた岩の裏側に隠してあるんだ。

その岩は、ある方法で簡単に撤去できる仕組みに成っているから問題は無い。

俺は、ここまで話したんだから信用してくれよ!

嘘だったら、その時俺を殺れば良いだけの事だし、大金が手に入れば、あんた達だって安い銭でこき使われる用心棒を続ける必要も無い訳だろう?

行って見るだけの価値が有るってもんじゃないか?』


漸く納得した彼等は、もう一度、俺を車に連れて行き、今度はトランクじゃなく、後部座席に座らせて車を走らせた。


彼等は口々にお金を手にした時の使い道で話が盛り上がっている。


数分経った頃には、俺の存在すら忘れて馬鹿話を始めだした。


そして、好きで用心棒を遣っている訳じゃない、命は欲しい、散々扱き使いやがって等と、ボスの悪口すら飛び出す始末である。


俺は、心の中で冷たい笑いを浮かべながら彼らの話に聞き耳をたてていた。


暫くして八王子I.C.に差し掛かった。


料金所でお金を払い、言われた通りに昭和の森に辿り着いた。


俺は、彼らの先頭に立って歩き出した。


彼らが、ここに来て急に思い出したかのように、


『下手な真似をしようと考えるなよ!

何時でも打てるように後ろから銃口が狙っているのを忘れるなよ!』


と脅しをかけてきた。



< 65 / 69 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop