地獄からのメッセージ
2章 復讐
翌日も俺は朝早くから起きて出勤して新聞に目を通したが、昨日の事を報じた内容の記事は出ていなかった。
まだばれていないのか、それとも向こうも様子を見ているのだろうか。
ばれる筈は無い。
俺は完璧な仕事をしたんだ。
自分に言い聞かせながら、無造作に新聞を来客用のガラステーブルの上に投げだした。
私は、その日の仕事が終わると同時に、
「今日はこれだから!」
と小指を立てる仕草をして、いかにもデートが有るように見せて出て行った。
背中の方で関口が冷やかしの声を挙げているのを聞き流しながら、後ろ手を振りながら扉を押して表に出た。
駐車場まで歩いて5分だが、慌てずゆっくりとした足取りで向かった。
車に乗り込み、エンジンを掛けてアクセルを1/3ほど踏み込んだ。
ターボ車特有の金属音がしてR32のエンジンにパワーを吹き込む。
暫くアイドリングをした後、ゆっくりとアクセルを踏み込んだ。
次第に滑るように出て行ったスカイラインは、新宿方面に向けて走り出した。
出来るだけ邪魔は入って欲しくないので目立たないように他の車の流れに合わせて50Km/hで走っていく。
暫くすると日垣グループの本社ビルが見えてきた。
近くに丁度駐車し易いスペースを見つけそこに車を止めた。
そして、FMバンドの受信機をONにしてイヤホンを耳に差し込んだ。
ここの所、なかなか面白い情報が手に入らなくて少々イライラしていたが今日は違った。
暫くの間、人が歩く音とか、何か物がぶつかり合うような音しか聞こえなかったが、その内に電話がなった。
『もしもし!わしだ!』
『社長、田崎開発部長から連絡が入っています。』
『繋いでくれ。』
『日垣社長、コンピューターチップの工場での損失補填にと、新たにラオス政府からの依頼で、小型分子破壊レーザー銃のオーファーが来ていますが如何しましょうか?』
『あれは、まだ実験段階だから難しいんじゃないか。
長時間使用するとサーモの部分がオーバーヒートを起こして大変な事になると研究所長が言っていたが…
後で研究所長を呼んでおいてくれ。』
『判りました。それでは後程!』