失われた物語 −時の鍵− 《前編》【小説】
次の日ヤツは学校を休んだ
僕の休み時間が変にヒマになった
学校には妙な噂が流れていた
音楽の先生の事故死に関して
警察が動いている…という噂だった
誰かから漏れたのかただの噂か
よくわからないが
噂の出所はPTAらしかった
それも噂かも知れないけど…
ただヤツの話とはつじつまが合った
日常が侵されていく感覚を
再び思い出してる
ヤツの言ったドラマのようなことが
現実の世界に漏れ出していこうと
しているのか?
また均衡が崩れたのだ
このバランスミス…
悪夢と日常の
干渉し合わないラインが崩れてる?
あの入院した日の感覚がよぎった
大いなる調整
そうとしか言い様のない出来事
ヤツもこれからそれに見舞われると
何かの予感が囁き
僕は思わず祈っていた
その出来事に関わる全ての人達が
どうか幸せになれるように…と