失われた物語 −時の鍵− 《前編》【小説】




部活を終え帰宅して夜になった

夕飯を終え部屋に上がり

独りで机に向かって座り

明日ヤツに会うかどうか

悩んでいた




しばらくして兄がバイトから帰った

部屋で独り何もせずにいる僕を見て

部屋に上がってきた兄は

少ししてから話し掛けてきた

「難しい顔して…」

僕はハッとして兄を見た

「驚いた?」

兄はそれに驚いていた

「あーゴメン…考えてた」

「何を?」

「バンドのメンバーのこと」

その答えに兄は嬉しそうな顔をした

「そうか…うまくいってるか?」

「それがね…」

「なんかあるの?」

僕は兄に先生の事故死の話と

ヤツの話をざっと説明した

学校の屋上のことから

ヤツが僕と秘密を共感し始めた

そんないきさつも含めて…

「…んでさ…明日学校来なかったら

ヤツんちに行こうかどうしようか

って…悩むよね…そっとしといて

やりたいし…でも放っておきたく

ないし」

「確かにな…」

兄は腕組みをしてちょっと考えて

いるように見えた

「そのまんまのこと…今メールした

げれば?」

「へ?」

僕は兄を見上げた





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