失われた物語 −時の鍵− 《前編》【小説】




「いやさ…そしたらお前の気持ちが

伝わるだろ?…悩んでるって素直に

書いて…それでどんな返信が来るか

…もしくは来ないか…待ったら?」

「そっか…」

「どうするかはそれから考えれば」

兄の提案ににわかに希望が湧いた

「気がつかなかった…直接会うこと

に頭が固まってた」

「悩んでるときはそんなもんだ」

兄は笑った

「でも…そいつ…いいヤツだな

バンドのボーカルのヤツだろう?

お前の良く話してる…」

「ああ…そういえばバンド以外の話

兄貴にしてなかったかもね」

「うん…初めて聞いた…秘密の共感

…か…何か話したの?俺の事とか」

僕はぶるんぶるん首を横に振った

「まさか!」

「そうか…お前の友達はお前に手の

内見られちゃったんだな…」

兄は不思議なことを言った

「そりゃそうだけど」

「そうなるとお前も手持ちのカード

出さなきゃな」

「え?」

兄はにっこり微笑んで言った







< 283 / 360 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop